パンドカンパーニュ(レシピ研究)

レシピ研究

背景・目的

本研究は、友人より供給されたオーガニックレーズンから採取した酵母種(ルヴァン)の受領を起点とする。取得したルヴァンを未活用とすることは、友人の意図及び資源の有効活用の観点から機会損失となるため、パン作り未経験にもかかわらずいきなりの天然酵母パン作成に無謀にも挑戦する。本研究は、パンドカンパーニュのレシピの各工程について調査・検討を行うことでそのメカニズムの理解を進めるとともに、パンの焼成によりパンとともにおいしいワインを飲むことを目的とする。

研究アプローチ

ルヴァン受領の際に友人より紹介された参考動画である、うまいラボ・Umai Lab様の以下の動画を視聴し、科学的な疑問点についてその意義などを調査しつつ十分な理解を得たのちにパンドカンパーニュの作成を実践してく。

レシピ研究

0.ルヴァン(発酵種)の活性化

強力粉などの小麦粉と同量の水を元種に加えることにより酵母を活性化する工程。ルヴァンは通常冷蔵庫で保管されるため、保管が長期になると活性度が落ちてくる。この工程では、ルヴァンを活発に活動できる温度に置き、十分な餌(小麦粉+水)を与えることによって活性化させている。

一回の活性化で4時間から6時間が必要なので、複数回の活性化を考えるのであれば、余裕をもって12時間程度を考えておくべき。前回活性化からの保管期間が短い場合には、1回の活性化で大丈夫と思われる。この後の工程の長さを考慮すると、当日の夕食にパンドカンパーニュをいただく予定であれば前々日の午後の処理が必要。

1.一次発酵:オートリーズ(ハイブリッドオートリーズ)

(材料)
ルヴァン 40 g(パンを焼く前日に元種1:強力粉5:水5でフィードしたもの)
水   130 g
全粒粉 40 g
強力粉 160 g
海塩  4 g

このレシピに記載の水、全粒粉、強力粉、ルヴァン、海塩を全て混ぜる。容器に入れて覆ってから2時間休ませる。

このレシピは加水率約70%である。加水率は小麦粉に対する水の割合を指し、ルヴァンが小麦粉と水の割合が1:1で考えると、正確な加水率は(130+20)÷(40+160+20)≒68.2%となる。
加水率が高いと生地が少しべたつくものの伸びが良く窯伸びしやすくしっかり気泡が入るという効果があり、加水率70%は適度な生地となる。

小麦粉と水が触れることによりタンパク質(グルテニンとグリアジン)が結合してグルテンの形成が開始される。この際、小麦粉に含まれるアミラーゼがでんぷんを分解して糖に変え、この糖を酵母の分解することにより発酵が進んでいく。

ルヴァンを入れる前に水を小麦粉と混ぜる「オートリーズ」を行うというものもあるが、ここではすべて同時に混ぜる「ハイブリッドオートリーズ」の手法を行っている。調査によるとハイブリッドオートリーズの場合でも海塩は後入れとするものが多いがここでは簡略化を行っているのであろう。オートリーズはルヴァンなしで水と小麦粉を混ぜるので、タンパク質の形成がしっかりなされて生地の伸びが良くなるという長所があり、ハイブリッドオートリーズは、発酵力を早めに引き出すことや作業時間の短縮を図ることに使えるという長所がある。

2. 一次発酵:ストレッチ&フォールド + ラミネーション

(ストレッチ&フォールド)
生地を伸ばして畳む動作を繰り返す。一通り終わったら丸めて乾燥に気を付けて暖かいところで30分休ませる。この一連の動作を3回行う。

(ラミネーション)
さらに、生地を四角く伸ばして縦に三つ折りし、端から巻くように折っていく。
容器に戻し、暖かいところで1時間休ませる。

これらのことにより、物理的な刺激を断続的に加えることによりグルテンの網目構造を整えて強化する。また、酵素は酸素がある環境で増殖するので、生地の弾力も高まる。

3.一次発酵:コイルフォールド + バルク発酵

(コイルフォールド)
容器内で生地の縦方向の中ほどに指を生地の下に滑り込ませてから前方の生地を下側に折りこむ。180%回転させ、同様に前方の生地(先ほどは後方だったところ)を下側に折りこむ。90度回転させて上記と同様の一連の折り込み動作を行う。このことによりグルテンの層構造をさらに持たせ、ガスの保持力を高めることができる。

(バルク発酵)
容器に入れて覆いをし、バルク(生地のひとまとまり)にして4時間発酵させる。生地の大きさが1.5倍~2倍になれば終了。これらの発酵においてはガスの発生する酵母によるアルコール発酵と同時に酵母種に含まれる乳酸菌の働きによる発酵が同時に行われている。発酵が進むと酸味が増していくのはこの効果による。

4. 成形 + コールドリタード(低温長時間発酵)

(成形)
作業台に打ち粉をして生地を四角く広げ、生地を薄くせずガスを抜かないようにやさしくラミネーションの要領で折りたたむ。さらに、生地の巻いて渦巻になっている部分を生地で覆って閉じる。打ち粉をして容器に生地を入れて1時間休ませる。

(コールドリタード)
休ませた生地を冷蔵庫に入れて12時間置く。生地を指で押してみてゆっくりと戻ればOK。発酵不足ではその部分が跳ね返り、過発酵だと戻らない。
低温になることによりゆっくりと酵母や乳酸菌による発酵が進んでいくが、並行して小麦粉に含まれるプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)によりタンパク質がアミノ酸に分解され、旨味を増していく。

5. 焼成

生地を容器からベイキングペーパーに取り出してクープを入れる。クープは斜め45度に5mm~1cmの深さに入れる。クープを入れることにより内圧が高まった時にクープが開くことにより爆発することを避けることができる。

オーブンとステンレスボウルを245℃に予熱し、生地にステンレスボウルを被せて20分焼く。その後、ステンレスボウルを外して15分程度よい焼き色になるまで焼く。焼いた後は1~2時間後に完全に冷めてから切る。

最初にステンレスボウルを被せて焼くのはクープ部分を焼き固めてしまわないため。ステンレスボウルの代わりにアルミホイルやベイキングペーパーで覆いを作ってもよい。完全に冷めてから切るのは組織が固定されない間に力をかけてしまってつぶれるため。

(参考文献)
うまいラボ・Umai Lab 様 : https://www.youtube.com/watch?v=4TBTf6vLXLA&t=903s

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